藤岡藤巻の楽屋

ゆるーく書きます

藤岡藤巻に学ぶ謙虚さのあり方

 静 炉巌(せいろがん)です。知らないって? そりゃ、他人のコトを本当に知ってるヒトなんていませんよ。

 

 で、藤岡藤巻ってのは、スゴいヒトたちなのに、なんて謙虚なアーティストなんだろうって思うわけです藤岡藤巻のリスペクターとしては、もうちょっと大きな態度でもイイんじゃないのって思うほど。

 

 お二人が言うには、まりちゃんズ“をやってた若かりし頃に、やたらと偉そうなアーティストや業界人が横行してて、「自分たちは、絶対にそうはなるまい。偉そうに思われたくない」って思ったんだって

 

 ただね、その思いが強過ぎて、気がついたら謙虚を通り越して、卑屈な方向に逆ブレしていたらしい。確かに、ライブで「どっちが藤岡で、どっちが藤巻でしょうか?」てなことを質問するアーティストなんていないもの。

 

とはいえ、ポニョの歌がヒットした時に、藤巻さんが「ポニョの歌が売れたのは、99%のぞみちゃんのおかげです」って、宮崎監督に謙虚に言ったら、「そんなことないよ。99.99%だよ」って返されたっていうから、まだ謙虚さがつけいる隙は残っているかもしれません。

 

 そんなわけで今回は、「藤岡藤巻から“謙虚さ“を学ぶ」っていう、ちょっとイイ話みたいな回なわけです。

 
 オレがあらためて、藤岡藤巻の謙虚さを痛感したのは、ポニョの勢いで、2009年2月にジーンズフィフティの特別賞をもらった時のこと。

 

 お二人がジーンズを履いてるトコなんて見たことないけど、それはそれとして授賞式の当日。一足先に会場に到着した藤巻さんは、一旦は控え室に入ったけれど、藤岡さんが到着するまでの間、別室で関係者と打ち合わせをしてた。

 

 藤岡さんはといえば、沖縄から会場に直行して、施錠された入り口前からスタッフに連絡することになっている。

 

 やがて、入り口に到着した藤岡さんから電話が入って、会場のスタッフが迎えに行ったの。

 

 しばらくして、スタッフの「藤岡さん、入りました」の声に振り向くと、知らないオジサンが立っていた。このヒト、藤岡さんじゃないけど…

 

 メガネをかけたオジサンっていうだけで、違うヒトを連れてきたらしい。その頃、藤岡さんはと言えば、いつまでも来ないスタッフを待って、寒空の下で震えてた

 

 この時は、イベントスタッフの目からさえ、すり抜けてしまう藤岡さんの謙虚さに、自然と頭が下がったものです。

 

 もちろん、藤巻さんだってスゴいヒトなのです。当時、藤巻さんがお茶の水で待ち合わせをしてた時のこと。待ち合わせ時間より早めに到着した藤巻さんは、時間潰しのためにフラっと目の前の楽器屋に入ったんだって

 

 店内を一巡すると、自分たちが使っているギターと同型の小型ギターがあったから、なんとなく眺めていたの。すると、藤巻さんを見つけた定員さんが、目ざとく声をかけてきた

 

 ギターに興味があるんですか? これはポニョの藤岡藤巻も使ってるギターなんですよ。藤岡藤巻って、知ってます?

 

 危うく藤岡藤巻のギターを売りつけられそうになった藤巻さんは、「知りません。音楽に興味ないんで」と答えて、その場を去ったという。

 

 藤岡藤巻を知っている店員さんの目にも、ただのオジサンとしか認識させないなんて!と、オレは感動を覚えながら、その謙虚さに、頭が下がる思いがしたものです。

 

今にして思えば藤巻さんは、のぞみちゃんといるときだけ、認識されるようにしてたのかもしれません。

 

 2010年11月の出来事も、忘れられない大切なエピソードのひとつです。当時、藤岡藤巻は、テレビ東京が深夜に放映してたドラマ『宇宙犬作戦』で、主題歌と音楽を担当してたの。

 

 番組のキャッチコピーは、“崖っぷちのテレビ東京がヤケクソで送るSFコメディ“というもので、レギュラー出演者は、戸次重幸さん、ラーメンズの片桐さん、高梨臨ちゃんという豪華な布陣。自分も2本の脚本を書かせていただいた。

 
 この番組のDVDが発売されることになって、その記念イベントに出演者と共に、藤岡藤巻も呼ばれたわけです。会場は、渋谷タワーレコードのイベントルーム。

 

 で、藤岡さん、藤巻さんと当日に待ち合わせすることになったんだけど、待ち合わせ場所は、タワーレコードの正面玄関前でイイんじゃないの?とか、平気で言うわけ。

 

 驚きましたとも! だって、藤岡藤巻といえば、国民的番組だった紅白歌合戦に出たんだから、いわば国民的歌手なわけじゃん。

 

そんな二人がタワーレコードの前に揃って立ってたら、握手やサインを求める大群衆に囲まれて、動けなくなるに決まってる。しかも藤岡さんは、ギターケースまで持ってくるんだから、目印みたいなもんで気付かれないわけがない。

 

 当日、オレはドキドキしながらタワーレコードに向かったね。だってお二人を、群衆のサイン攻めで圧死させるわけにはいかないもの。

 

 でもね、二人が揃って立ってるのに誰も気がつかないわけ。老若男女、いろいろな人たちが、目の前を通り過ぎていきました。イヌも通りすぎましたもしかして藤岡藤巻は、誰からも見えない異次元に迷い込んでるんじゃないかって、ふと怖くなってしまったほど。

 

 オレは、そこらを歩いてる極端に弱そうなヒトの首根っこを捕まえて、「ほら、ここに藤岡藤巻がいるだろが!よく見ろよ!」って言いたい衝動に駆られました。散歩中のチワワをとっつかまえて、「ほら、匂いを嗅ぐワン!」って突き出したかった。

 

 だけど、それこそが藤岡藤巻なのかもしれません。

 

 そんなわけで、私は、国民的歌手となっても、なお人々に気づかれないように振るまう藤岡藤巻の、桁外れの謙虚さを尊敬しているのでございます。