藤岡藤巻の楽屋

ゆるーく書きます

「藤巻先生のサラリーマン講座」がはじまるよの巻

お静かに! お静かに願います!! 静 炉巌(せいろがん)です。皆さん、お静かに!

 

 あのですね、本日の『藤巻先生のサラリーマン講座』なんですけどね。講師である藤岡藤巻藤巻直哉先生がまだ来てなくて、連絡もつかなくて。

 

で、会場主の人が「だったら代わりにお前が話せ!」って、「イヤなら、会場のレンタル代を払え」って。怖い顔で。ワタシ、ただの受付係なのに。

 

 いや、大丈夫です。大丈夫です! お静かに願います! モノを投げないで! あの、ワタシですね。藤巻先生とお話したことはないんですけど、部下の方たちからは、しょっちゅう先生の愚痴を聞かされてます。会社の自販機のとこで。

 

ですから今では、誰よりも藤巻先生のことを知った気になっております。ですから、大丈夫です! 安心して! 藤巻先生が言いそうなことを話しますから。大丈夫だから。じゃ、はじめますよ! 客電を落としてください。

 

 えぇ、コホン。みなさん…。みなさん、ご機嫌よう! うん、こんな感じですね。本日はサラリーマンという生き方について、お話したいとお…思います。

 

 ワタシが…あっ、ワタシってのは藤巻先生のことですからね。ワタシがまずお伝えしたいのは、“サラリーマンは、目立ってはいけない“ということなのであります。世間には、出世のために目立とうとする人がいますが、そんな考えではいけないのです。


 
 ワタシは、〇〇堂という大手の広告代理店で局長代理をやっておりました。なぜ、そのような地位につくことができたのか!? ヒトの何倍も努力をしたからでしょうか!? いいえ! 強力なコネがあったからでしょうか!? とんでもない!

 

 それは“目立たないこと、期待されないことを心がけていたから“なのであります。いいですか、皆さん! これ大事なことですよ。

 

 会社に入社した時、ワタシにはたくさんの同期がいました。優秀なヤツ、トンがったヤツ、みんな希望に燃えていました。でも、何年かが過ぎていくうちに、同期の数は少しづつ減っていきました。

 

 いいですか、優秀なヤツは頑張って成績を上げます。だから上司から期待されるわけです。そうなると、ハードルも上がるので、次の仕事も頑張って、また結果を出さなくてはなりません! すると、またハードルが上がって…という具合に、どんどん仕事がキツくなるんです。やがては身体を壊すか、疲れ切って会社を辞めるということになるのです。

 

じゃあ、逆に仕事ができなければいいのか! そうはいきません! 悪目立ちするヤツは、どっかに飛ばされたり、クビになるわけであります。


 
 その積み重ねで、同期の年代の社員がそれなりのポジションにつく年齢になった頃には、もう、私しか残っていませんでした。「しょうがないから、あいつでいいっか」ってなりますよね。

 

 そういうことなんですよ! よくも悪くも目をつけられないこと! 期待されてはいけません。それがサラリーマンに必要な心得なのであります。

 

 でもね、だからといって、目立たないってだけじゃダメですよ。嫌われないこと。これも大事です。私だってね、これでも部下には慕われてるんですから。

 

 この前、細谷っていう女性部下が、ワタシのことを心配してくれましてね。「他人の相談に乗るのは、もう止めた方がいいんじゃないですか?」なんてことを言われまして。

 

確かにね、次から次へと相談事が来たら、時間がいくらあっても足りませんよ。でも、放っておくわけにもいかないでしょ。今のところ相談に来たのは、まだ一人だけですが。

 

 あれは飲み会の席だったんですけどね。細谷も同じテーブルにいまして。で、私が”どんなところでもすぐに眠れる”っていう話をしてたら、正面に座ってた若手が、悩みを打ち明けてきたんです。

 

「藤巻さん。実は、このところ不眠症に悩んでまして。毎晩、ツラいんですよ」

不眠症? そんなの簡単だよ。不眠症なんて、寝れば治るよ!

「…いや、でも寝ようとすると、なんかイロイロなことを考えちゃうんですよね」

だったら、考えなきゃいいんだよ!

「…」

 

スパッと、悩み事を解決してあげるってのは気持ちがいいもんですよね。その後、彼は相談に来ないので、私のアドバイスが効いたわけです。不眠症の方は試してみてください。簡単ですよ、不眠症は寝れば治ります!

 

 だいたいね、難しく考えすぎちゃダメですからね。人生なんてのはなるようになるもんですから、というか、なるようにしかならないですから。

 

 よく、「人生には様々なハードルがある」なんてことを言う人がいます。「夢をかなえるためには、ハードルがある」とかね。

 

でもね、実は、どんなハードルでも、コツさえ知っていれば飛び越えられないものはないんですよ。これはつまり、”どんな夢でもかなえることができる”ということでもあります。せっかくなので本日は、その秘訣をお教えしたいと思います。

 

 いいですか、よく聞いてください。夢をかなえるコツ。それは”ハードルを低くする”。これだけでいいんですよ! 飛び越えられる高さにすればいいのです。

 

 美人と付き合いたいって? ブスでいいじゃないですか、ブスで! イタリア旅行に行きたい? マカロニ舐めながら散歩してなさいよ! ヴィトンのバッグがほしい? リプトンのティーパックでいいだろ! お金が欲しい? 自販機の釣銭口に突撃!!

 

 どうですか、みなさん! 夢がグっと近づいたように感じるでしょ? ”ハードルは低く!”…、本日はこれを覚えて、人生を豊かにしていただきたいと思います。

 

 ご清聴ありがとうございました。…あっ、客電がつきましたね。やけに、ご清聴だなとは思ってたんですけど、やっぱり皆さん、帰っちゃってたんですね。

いや、一人だけ眠りこけてる方がいますけど…あっ、藤巻先生!!!